今回は軽トラ平成12年のS210Pハイゼットのオイル漏れ修理が入庫したので紹介します。調べてみると2箇所からのオイル漏れが判明しました。どちらも定番の漏れ箇所でしたがその一つが見た目以上に重症だったのでもう少し遅れてたら最悪エンジンブローする可能性がありました。そんなダブルパンチを喰らったハイゼットです。
第一のパンチ
こちらはタペットカバーガスケットの劣化による漏れです。一度も交換されたことがないようなので漏れて当然です。カバーを外してパッキンを取り外しましたがゴムの約割はしていませんでした。画像のようにパキパキです。このパッキンを交換します。できればカバーも少し歪みが出てるようなので交換したのですが予算の都合もあり見送ります。ここから漏れたオイルがエキゾーストパイプに落るのでオイルの臭いがするので漏れは自然と気づかされます。
ここらのオイル漏れが原因でO2センサーも被害を受けたので交換する事にします。
第2のパンチ
今回はこちらがメインの作業となります。こちらのオイル漏れを修理するにはミッションとクラッチを外す大仕事となります。DIYでも作業可能ですが安全を考慮するとお勧めできません。業者に頼むのが得策です。作業手順は次の順番です。
準備
必要な部品、工具、油脂類を確認します。今回準備した物、装備は以下の物です。
部品
- クラッチ3点キット-クラッチ、カバー、レリーズベアリング
- リアクランクシール
- トランスファー前後オイルシール
工具
一般で使用する工具 以下はあると便利なSST
- オイルシールリムーバー(オイルシールを外す工具)
- センター出し工具(クラッチの芯出し)
- ミッションジャッキ(これがあると作業時間短縮できます)
油脂類
- エンジンオイル(抜かない場合は不要)
- ミッションオイル(トランスファー) ※抜かずにプロペラシャフト外すと漏れる為
- クラッチグリース
作業手順
- ミッションを降ろす準備でワイヤー、ケーブルを外します。
- トラスファーオイルを抜く
- スターターを外す
- プロペラシャフトを抜く(前後)
- ボルトを外す
- ミッションを降ろす
- クラッチカバーを外す
- クラッチを外す
- フライホイールを外す
- 交換するシール類を外す
後は逆の手順で組み付けます。
参考画像
リアプロペラシャフト(短い)
フロントプロペラシャフト(長い)
ミッションケース
オイル漏れの為コテコテです。真ん中に見えるのが3点セット交換する前のレリーズペアリングです。
交換後の画像を見ればどの部品か解りますね。
新品レリーズベアリング
シール交換前の画像
何が問題かと言えばよくあるパターンのオイル漏れとは違います。それはオイルシールが抜けかかってる点です。ケースより押し出され軸部分からリップが外れた原因でオイル漏れをおこしてます。本来、ケースとシールはツライチか少しケースより奥に収まります。(シールが抜けるとオイルはダダ漏れになります)
交換後のシール
ケースとシールと軸の位置関係を見ると一目瞭然
トランスファーリアシール(交換前)
トランスファーリアシール(交換後)
トランスファーフロントシール(交換前)
トランスファーフロントシール(交換後)
こちらのシールはリアより厚さがあるシールで簡単には抜けません。
新品のクラッチとカバー
目視で芯出しOK!
まとめ
今回は「ハイゼット2箇所からの少量オイル漏れの原因とは?!」を紹介しました。一つ目のポイントはヘッドカバーガスケットの低年劣化が原因でした。二つ目のポイントはクランクリアシール抜けが原因でした。作業に関連した項目でクラッチ交換も同時におこないました。難易度的は高くありませんがシールの組み付け不良は避けたいところです。組み付け後日オイル漏れなんて事も多々?そうなると同じ工程を再度する事になります。そんな事を考慮すると5万くらいの工賃は安いのではないでしょうか?たかがオイル漏れ。されどオイル漏れ。予算がない方はオイル漏れ防止添加剤なども選択肢の一つです。こんなダブルパンチは敬遠したいものですね。今回もご覧頂きありがとうございました。